産経新聞平成18年3月22日掲載 え〜美タミン NO.71
「私に舞い降りた使命」

先日、『森で会いましょう ─ジャッピー、トらやん、そして第3の塔─Antenna×ヤ ノベケンジ』展が、大阪府立現代美術センターで開催された。
では、コンクールで選ばれたアートユニットTAntennaU(アンテナ)とヤノベさん とのコラボレーションの模様を、《サスペンス風》でお届け致しましょう。

都会のど真ん中に、不思議な森があるという。「タイトルの三つの謎を解かねばなる まい」。そう心に決め足を踏み入れると、薄暗いその先に何か黄色いモノが・・・。 「火の玉か!?」。それは、黄色いミニアトムスーツを着たTトらやんUという腹話 術人形。「これがトらやんかぁ」。その後ろにあるのは、核シェルター機能を持つ『 森の映画館』(ヤノベ作品)。ここで子供たちは、核攻撃をうけた後の生きる術を、映画から学ぶ。
「核戦争が二組の共通点か?」先へ進むと、その憶測はもろくも崩れ去った。「こ、これはッ!」。真っ赤な提灯の下には、『マツリヤタイ』(アンテナ作品)というお神輿のようなものがあり、鳥居をくぐり階段を上ると、中でおみくじを引くことができる。「神道か? では神様はどこに??」と、ふと屋根の先端をみると、耳の長い
可愛いキャラクターが奉られている。「えっ、これがジャッピーなのか!?」私は、さらに森の奥へと進んでいくと、ヤノベ&アンテナの映像が上映されていた。
「何ナニ、近未来のお話かぁ。数百年前の日本の文化を題材にした孤島の歴史テーマパーク『ヤマトピア』。そのメーンキャラクターであるTジャッピーUを島民は神として崇拝し、外界との接触を拒み、やがて廃墟と化した」
ジャッピーの謎は解けた。あと残るはT第三の塔U。「んっ!? ある男がヤマトピアに迷いこんだ。うわっ、島の中央の巨大な塔が始動し、男が登りだした! おぉー 、これが第3の塔か!! 男よ、早く脱出し現在に戻れー!」

ヤノベさんの、大阪万博跡地での問題提起と同様、アンテナの問題提起も『未来の廃墟』。「人の心の廃墟化も止めねば・・・」。そう私は、幽遠な森で誓うのだった。

た。