産経新聞平成18年1月4日掲載 え〜美タミン NO.60
「感動の横浜トリエンナーレ」
皆さん、年末年始はいかがお過ごしでしたか? 私は年末に滑り込みで『横浜トリエンナーレ2005 アートサーカス
〔日常からの跳躍〕』に行って来ました。

会場は、横浜市山下埠頭。「何ナニ・・・入場者数十五万人突破! スゲぇー!」。そして入ってみると・・・「デケぇー!」。展示は、倉庫内の六つのゾーンと屋外に、七十一の作品で構成されていた。

まず私の目をひいたのは、ヴォルフガング・ヴィンター&ベルトルト・ホルベルト(ドイツ)の『スウィンガークラブ ヨコハマ』。ブランコの、プラスチック製の椅子をグリーンに光らせ、それが揺れ動く様はまるでT地上に舞い降りたオーロラU。海側には、同作家の黄色のキャリアケースで制作した『カステンハウス720・9-横浜展望台』があり、その螺旋階段を上っていくと・・・うわぁー!

室内がケースの間からの陽光で満たされ、木漏れ日キラキラ感満載。

「屋外も面白そう!」と向かった先は、数台の電話ボックス。岩井成昭の『波止場の伝言』・・・何やろ?と中に入ってみると着信が!? 「あっ、けんちゃん、お母さんだけど。こっちは旅館に着いて、今お父さんお風呂入ってるんだけど・・・」などと、次から次へとベルが鳴る。最近めっきり着信がないなぁ〜、とお嘆きの方にはぴったりの一品!

コンサートも出展していた。向井山朋子は、二〇〇三年から『Tfor youU』という、たった一人の観客を対象にしたコンサートを開催しているピアニスト。今回、オークションで競り落とされた金額は、何と百万円!向井山さんのHPを見ると、「その人は、赤いフェラーリに乗って・・・」と書かれている。羨ましいぃー!

そんな中、私が一番感動したのは、高嶺格の『鹿児島エスペラント』。真っ暗な室内では、仕掛けがまったく読めないさまざまなライティングが繰り広げられ、それがメッセージとなり、観客の心に深く刻まれでゆく。「もっといろんな人に観てほしいなぁ。けど、きてよかった」。そんな満足感が、夕日とともに私の胸に沈んでいった。横浜、またネ!