産経新聞平成17年11月17日掲載 え〜美タミン NO.54

「恋文にキュン」

展覧会は数々あれど、世界を巡回するモノはそう多くない。『オランダ絵画の黄金時代 アムステルダム国立美術館展』は、改装工事に合わせて計画された展覧会で、日本では兵庫県立美術館のみの開催(二〇〇六年一月十五日まで)。
そう、"のみ"と知った日にぁ〜、じっとしちゃいられない。おまけにチラシを見たら『神戸着。フェルメールからの恋文≪ラブレター』と書いてある。あぁ、もうたまらん。行くぅー!!というわけで、お一人様ご案なぁ〜い。

さて、最初の作品は・・・
「おぉー、いきなりレンブラント! 光と影の静寂に吸い込まれていくぅ〜」。レンブラント・ファン・レインの『青年期の自画像』(一六二九年頃)が、最初に展示してあるのにはヤラレタなぁ。そして、展示室の真ん中に飾ってあったのが、イルカに乗った少年が貝型の塩皿を持っている、ヨハネ・ルトマの『塩入れ』(一六三九年)。「これきれいやなぁ。時の流れを全く感じさせない光沢。あっ、あそこにヤーコプ・バッケルの描いたルトマの肖像画がある。へぇ〜、こんな人やったんやぁ」

次の展示室でも銀モノを発見。「『風車の装飾付きコップ』(一六三六年)!?何ナニ・・・、風車が止まる前に飲み干さないと、裏にでる数字の杯数分だけ酒を飲まされる!? これって罰ゲームやん!」
もうひとつのガラスケースに展示してあるのは、黄緑の縦長のグラスに数本の横線が引いてあるパス・グラス(十七世紀)。・・・また罰ゲーム系の予感。「えぇ〜と、ひと飲みでちょうど次の線まで飲み干さないと、さらに次の線まで飲まなくてはならない!? ・・・なんて恐ろしいゲームや。けどこれ、今でも使えるなぁ。ヒッヒッヒ〜・・・」あっ、失礼致しました。

そして最後はお目当てのヨハネス・フェルメールの『恋文』(一六六九 - 七〇年頃)。小さい作品ゆえに、塗りのタッチが浮き彫りで≪生≫が伝わってくる。皆さん、印刷物よりやっぱり生ですよナマ!
神戸発、貴方着のラブレター。美タミン補給は恋文から!