産経新聞平成17年11月9日掲載 え〜美タミン NO.53

「いま新開地が熱い!」

今秋は、神戸の新開地誕生百年。そんな新開地で、十年続いている関西在住若手作家の企画展がある。神戸アートビレッジセンター(KAVC)で開催中の『眺めるに触れる・KOBE ART ANNUAL 2005』(十三日まで)。

アートビレッジセンターって素敵なネーミングでしょ!湊川を埋め立てて出来たこの地は、かつてJAZZのビートが鳴り響き、活気に満ちていた。ほら、目に浮かんできませんか?「ワァー」っていう歓声が。おぉーっと、「あぁ、昔はよかったなぁー」と自分の過去とオーバーラップさせて溜め息をついているあなた。
新開地が盛り上がってるんですよ、今!

まず、レセプションでサプライズなパフォーマンスをみせてくれたのは、田中健司(八一生まれ)。彼は、美術館などに足を運ばない人達にも鑑賞してもらえるようにと、京都の二条城に様々なライティングを施した作品を発表したりしている。進行役のKAVCの木ノ下さんが「では、外へどうぞ」と呼び掛け、皆さんゾロゾロとオモテへ。「何が始まんねんやろ・・・んっ、音楽が流れてきた・・・あっ、壁面にフラッグ状に設置された赤布に光が点滅しだした・・・うわっ、その後ろを人が行き交ってる! わかった!
これは昔の新開地の賑わいや!!」(期間中のパフォーマンスは終了)。私は、頭の中で人混みがフラッシュバックし、時の旅人と化していた。

しばらくして、「では中へどうぞ」という木ノ下さんの呪文でハッ!と現在に戻り、館内へ移動。二〇〇五年の出展作家は十人。木炭画や映像作品、それに能面や携帯電話を題材にした作品などがある。で、この企画展のオモシロイところは、展覧会が開催されるまでのいろんな行程に、作家自身と同世代のインターンスタッフが取り組み、作品の意図解説・観客を交えての質疑応答などのプログラムをこなし、作家にプロデュース力を養ってもらう。そんな学び舎的な展覧会やイベントが、新開地・誕生百年を彩っているんです。芸術の秋を足元から。皆さんもご近所で、意外なアートスポットに出会えるかも!?