産経新聞平成17年10月5日掲載 え〜美タミン NO.48

「デパミュージアム三都物語」

九月二十一日、"百貨店での開催展覧会三都巡り"に行ってきた。まずは、京都高島屋の『若沖と琳派』。三時二十分、入場料八百円を払って入場。入ってみると、天井が高くて気持ちいい。で、私がハマったのが、琳派の鈴木其一作『歳首の図』。初春の喜びが、掛け軸の端々までほとばしり、思わず「部屋に掛けたいなぁ」と一人ニヤニヤ。あと、その並びにある酒井唯一の『鯉に燕子花図』なんか、松・鯉・カキツバタが前後に交錯し、遊び心満載。え〜なぁ・・・オォーッと、次に行かなければ!

JR京都駅より、午後五時一分の新快速に乗り、元町駅で下車し、神戸大丸へ。六時、『ジャン・コクトー展』に到着。そして、チケット売り場で嬉しいお知らせ。「夕方から期間限定サービスで四百五十円です」。やったぁー!四百五十円、得しました。そしてパァッと入り口の自動ドアが開くと、机上にワインが! うーん、粋な演出。

そのフランスの香りをまといながら、作品を見ていくと・・・、凄い! 線は、ナスカの地上絵のように生命力に溢れ、パステルは、深・浅・陰・陽がリアルに伝わり、まるでオペラを見ているように雄々しい。詩・小説・演劇などを極めた多大な才能は、全てひとつの線に繋がってゆく。中でも、四メートル近くあるタペストリーの大作『ユディトとホロフェルネス』は圧巻。ピカソに迫るパワーだ・・・あっ、やばい。時間がない。

六時四十三分の電車に飛び乗り、梅田大丸へ。入館締め切り十分前の七時二十分に『巨匠デ・キリコ展』に到着。スッっと四百五十円を出し、会場へ。ジョルジョ・デ・キリコは、顔のないマネキン人形のような人物像を描き、その背後や奥底に潜む異次元な世界を表現している。私が気に入った彫刻作品『ヘクテルとアンドロマケ』の鋳物が、御堂筋の西側・高麗橋4-1に設置されているので、要チェックを!

交通費含めて計三千三百四十円の"デパミュージアム三都物語"、いかがでしたか?
すべて駅からフラッと寄れるから、楽チン。夜は夜景のおまけ付き。是非!