八月、東京・渋谷にあるBunkamura Galleryで開催された、若手作家六人による展覧会『Bunkamura Art Show(BAS)2005 人工楽園』。
その特別企画、"おかけんたのBASツアー"に行ってきた。そう、私がナビゲーターなんです。
ツアー参加者は、作家を含めて約四十名。うーん、何から始めようか?・・・。実は私、作品を見てないんです。普通ナビというのは、作品のことを知り尽くし、参加者に説明していくというのが通常。けど私のツアーは違うんです。初見のスリルと感動を参加者と共に味わい、作家から作品の意図を引き出し、アートとの戯・れ・方を徹底的に追及するツアーなんです。
まず最初は、旗を持ったツアーガイドさんと共に、クーラーのきいた館内から一旦オモテに出て、気持ちをリセットしてもらうことから始めた。喋り始めて五分、暑い、早く中に入りたい。そういう視線を感じながら、玄関口側面にある小さなウィンドウへ移動。そこは、企業や館内施設の宣伝スペースで、和紙で制作したお城やステンレスの人形が飾られてある。皆、日頃見過ごしているスペースだけに、興味津々。
「『じゃ、ステンレス人形前に七時ね!』なんて待ち合わせ方も面白いでしょ?」と言い、クーラーのきいた館内へ。
「あぁ、涼しい!」、と参加者のテンションを少しずつ上げていき、期待感をあおっていく。そしていよいよギャラリーへ。これなんです、これが大事なんです。ギャラリーに到着するまでの道中、いろいろなものに興味を持ち、楽しみながらテンションを上げてゆく。そうすると、ギャラリーが見えたとたん、小走りになる自分がそこに居る筈です。こうしてギャラリーに入ると、普通なら「うん、いい」というリアクションが、テンションを上げていることにより「うわぁー、いいぃー」に変わる。
あとは「えっ!?そんな意図が!」とか「ほらみんな、こっち見て! 違う感じに見える!」とか、ワチャワチャの二時間二十分。戯れ方の極意は、「いい」より「いいぃー!」。一度お試しあれ。