産経新聞平成17年6月29日掲載 え〜美タミン NO.35

「観る観ない?あなた次第、鍵しだい」
アート関係者15名が、若手作家15人を推薦する企画展
『Art Court Forontier 2005 #3』が今、OAP(大阪北区天満橋)のアートコートギャラリーで開催されている。

まず目に付いた作品は、コレクターの木村邦男が推薦する、
田中健司(1981年生まれ)の『指向する映像』。
壁面に写し出されているのは、前方の川の向こう側。
それが少しづつズームインし、遊歩道からギャラリーへ、ギャラリーから中庭へ。
そして壁いっぱいにこの作品が写し出された時、それが川の向こう側の映像であることに気付く。
「うわっ、ネバー・エンディング・リアリズムや!」。
映像が現実を飲み込み、いつのまにか自分も映像一部と化してゆく。
これってプチ"マトリックス"体験!? 不思議だ。

そんな思いを胸に次を覗いてみると、腕に針金のオブジェをのせ、その頭を撫でている女性がいる!?
「これ、彫刻ペット『ターラちゃん』です」と言ってくれたのは、
ジャーナリストの山下里加推薦のやまむらけい子(1981年生まれ)。
ターラちゃん(8×27×15センチ)とは、針金で作ったイモムシ型の腕乗り彫刻ペットで、
頭がサヌカイトというツルツルとした石でできている。
これネェ〜、撫でると気持ちいいぃんです。
私も思わず何を着せよかなぁ〜と思ったくらい!そしてさらに奥に進むと、ドアに鍵がいくつも付いた白い部屋が建っている。
んっ、何!?・・・、52本の鍵のうち1本だけ合う鍵があります・・・??
これは作家ヤノベケンジ推薦の井上隆広(1979年生まれ)の『Please enter using a key』という作品。

ドアの開く確立は52分の1。
あえて見るという行為に条件を付けて、その作品を体験するかしないかを見る側に選択してもらう。
そして苦労の末、やっと開いたドアの向こうにあるものとは・・・。
「作品と鑑賞者の関わり方」をテーマにしたこの作品。
けど作家は、どの鍵が合うかわかっているのだろうか?
井上は言う。「いえ、別に合鍵持ってますから!」。
そんなアホなぁ〜、♪チャン チャン!