産経新聞平成17年6月22日掲載 え〜美タミン NO.34

「画廊を風が吹き抜ける」
GALLERY wksの企画展、『展覧会の穴』に行ってきた。四人の作家が挑んだテーマは"穴"!?

まずは,木内貴志の『画廊の穴』。壁にピンを刺して表現した文章は"画廊に穴をあけるな!"これは以前、とある画廊から展示の穴埋めとして思い付いた作品だそうだ。何か、画廊とのストイックな駆け引きみたいなものが見え隠れし、見る側にも妙な緊張感が小走りに駆け抜け、クスッと笑える。

次に私の目に飛込んできたのは、おしりのカタチをしたボーリングの球!?これは、shimokenの『OK−U』という作品。えぇーっと、テーマの"穴"はどこに・・・あっ、なるほど!投げた時、ドォーンと尻餅をつかないようご注意を!

次は、地球儀を寿司で穴埋めし『すしづめ』という作品を発表した岡本光博。日本人て、寿司好きですもんねぇ〜。海遊館に行っても「あれ旨そうやなぁ〜」っていけす風に感じてしまう私にとって、反省材料満タンの作品。そして最後は、現代美術二等兵の『情報』という作品。5枚ある看板には大きく"貸画廊"と書かれていて、その下には現代美術二等兵という名前とメールアドレスが書かれている。つまり、貸画廊から借りている期間中、その看板を見て他の作家がそのスペースを貸してくれと言ってきた場合、その行為が画廊の穴埋めとなるという作品。

現代美術二等兵は、籠谷ジェーン・ふじわらかつひとによるユニットで、『情報』は籠谷の作品。ふじわらは、小さなミロのビーナスと割箸を無理やり柱の穴に突っ込み、世紀の大傑作を普通に穴埋めの材料として使うという大胆不敵な作品を発表。彼等は言う。菓子に駄菓子があるように、美術にも駄美術があっていいと思う。・・・まさにお手軽美術。一緒に言った愛好家の大村さん曰く、「いやぁ〜、なんかスカッとしました。これはある意味癒やしですよ」。そう、その空気感で一気にいらん力が抜けて、爽快な気分になれたんです。ほんま、風穴あけられましたわぁ〜、4人のセンスに!