産経新聞平成17年6月15日掲載 え〜美タミン NO.33

「湯煙ギャラリー?え〜気持ち」
東京に、元銭湯をギャラリーにしているところがある。『SCAI THE BATH HOUSE』だ。戸をガラッと開けると入り口が二つあり、天井も高く、まさにえ〜湯加減ならぬ"え〜絵加減"なんです。そんなSCAIで行われた『ジュリアン・オピー展』のオープニングに行ってきた。

オピーはイギリスの作家で、国内外の10のギャラリーで個展を開くほどの超売れっ子!まず入って右側を見ると、女性のバスト・ウエスト・足のラインを、黒い太い線で描いたシンプルな作品が、目に飛込んできた。

うわぁー、本と一緒や・・・と当たり前の事を考えながらフッと正面を見ると、液晶画面に映し出された山と湖の風景があり、その水面が風に揺れている!?「今アメリカでこのタイプが人気あるんですよ」とスタッフが声をかけてきた。

「おかさん、こちらのランドスケープもご覧下さい」と左側に行くと、さきほどとは一味違う山と湖を描いたキャンバス作品が展示してある。・・・静かだ。「もっと明るい場所で拝見できませんか?」と私が言うと、「じゃ、作家に聞いてみますね」とオピー本人を連れてきたではないか!そしてスタッフが私を紹介するとオピーが、「実は僕も、奥の自然光の入るところに展示したほうがいいなぁと思ってたところなんだ」と信じられないような言葉。

スタッフがすばやくそれに対応し、自然光が入る奥のスペースへと作品を掛け変えた。するとオピーが「うん、やっぱりこっちの方がいいよ。ありがとう!」と言い、犬の作品をモチーフにしたバッヂを、私にプレゼントしてくれた。「Nice to meet you!」。これは、帰り際にオピーが私に言ってくれた言葉。あ〜、"絵あたり"する位、え〜絵加減気分。

それから数日後、SCAIのスタッフからメールが届いた。初日を終え、その足でオピーと共に禅寺へ向かい、日本の風景を見て回ったそうだ。次回は、『和』の世界をモチーフにした作品が見られそうだ。オピーさん、今度貴方の作品に出会えたら、こう言いますね。「Nice to meet you!」