産経新聞平成17年5月25日掲載 え〜美タミン NO.30

「京都を3倍楽しんだ」
『京都』、"コッテコテの大阪人"の私にとって、心引かれる街。そんな京都で、古・新・大自然!?を感じてきた。まず「古」は、京都国立博物館での「曾我蕭白−無頼という愉悦」展。蕭白は、お釈迦様や偉人などをモチーフにしているのだが、驚かされるのは、個性のきっつい人物描写。

18世紀といえば、『美』や『静』を表現したモノが多いが、蕭白は、ある意味グロテスクでパワフル。けど、館内にいたギャル達の声に耳を傾けてみると・・・「うわぁ、これキモカワイイ〜」と、意外なリアクション。

山水画は、山の偉大さと人間のちっぽけさがヒシヒシと伝わってくる。「どやっ、凄いやろ!」という蕭白の声が聞こえてきそう。いやぁ〜、恐れ入りました。

続いては「大自然」。ここは、交通量の激しい四条河原町交差点。そこへ、ピンクの布を身に纏い、金のブツブツ帽子を被った若者が、交差点に寝転びゴロゴロしている!?これは、ステンレスで立体作品などを製作している作家、小野正人(1980年生まれ)のドキュメント。小野君は言う。「日々、何かにとらわれ続けている自分を、肉体と精神を自律できない状態にして、何事にもとらわれない自分、つまり街中でただ存在するだけの自分を表現したドキュメントなんです」。単なる風景になってしまった小野君。これぞ、まさに大自然。

さぁ、最後は「新」。丸太町のイムラ・アート・ギャラリーで行われていた「小枝繁昭 "花"−眼差しのあいだ」展。小枝さん(1953年生まれ)は、、花の上にガラスをあて、そこに絵を描き写真を撮るという作品を発表。まるで、淑女がお化粧をして「見て!綺麗になったでしょ?」と語りかけてるよう。タイトルの「眼差しのあいだ」という意味も、素直に伝わってくる。小枝さん、えぇもん見せてもらいました。

いゃぁ、今回の"一人京都アートツアー・温故知新"、快晴で気持ちよかったぁ〜。今は、全国的に巡回展の真っ盛り。皆さんも、感性を芽ぶかせてみませんか。アートで!