産経新聞平成17年5月18日掲載 え〜美タミン NO.29

「胸に響く小杉DJ」
5月2日夜、大阪・南船場にある『浜崎健立現代美術館』の13周年記念イベントが、アメ村のグランカフェで行われた。私は、HIPHOP曲『オオサカ・チェケラッチョ!』の雄叫び!?と浜崎健の作品オークションのMCを担当。この作品は、『南船場Xgqプロジェクト』の一環で、各ショップのウインドーに作品を展示し、その作品を携帯メールで競り落とすというプロジェクト。

100円作品の2004枚の制作やパフォーマンスで知られる現代アーティスト浜崎健の作品は全て競り落とされ、私もホッと一息。イベントは、電撃ネットワークやスメリーなどのパフォーマンス、それにFPM田中知之などのDJが花を添えた。そんな中、あるアーティストがDJデビューを果たした。日本が世界に誇るサウンド・アートの第一人者『小杉武久』だ。

小杉さんは、60年代に前衛芸術家の国際的ネットワーク『フルクサス』に関わり、ジョン・ケージらと共演し、近年はマース・カニングハム舞踏団の作曲・演奏家となる。さぁ、いよいよ世界初の小杉DJパフォーマンスが見れる!そして、小杉さんがしなやかに登場。

おもむろにレコード盤に針を落とし・・・、あれっ?針が3本付いている!?あっ、針と違う!竹だ!! 細く削られた3本の竹をレコード盤の三箇所に落とし、その「ザァ〜」という微妙な音をマイクがひろっている。う〜ん、繊細だなぁっと思っていると、今度は懐中電灯を機械に当て、そこに近付けたり離したりすると「グゥオーン、ギュイーン」という効果音が出るというパフォーマンス。あぁ〜、脳内に響いてる。

けどこの感覚は何やろ・・・んっ!?そうかっ!発信元と自分との間に"ある空間"が生まれ、均等な距離感を保つことにより世界観が漸増し、そしてパフォーマンスが終わるとその世界観はお互いの心へと放たれ、感動へと導かれる。これは、上質な絵画を見たときと同じだ。これを芸術といわずして何であろうか!

「〜じゃないと芸術じゃない」と言い張る方々、美タミン片寄ってませんか? ゆるぅ〜く、いきましょうよ、ゆるぅ〜く。