産経新聞平成17年4月20日掲載 え〜美タミン NO.26
「深みにはまる、自分が変わる」
初めて"アート作品を買う"という行為は、なかなか勇気がいるもの。私が最初に購入したキッカケは、部屋の模様替えの時に、勢いで買った!というのが正直なところ。けど、この勢い、大切なんです。
勢いで買うと気持ちが追い風になり、人に喋りたくなります。喋ると誰かが「〜さんって絵のことよく知ってるから紹介しましょか?」と、"そのスジの人"に出会えます。そのスジの人に出会うと、その方の世界観に触れ、今までとは違う作家の作品と出会えます。わたしにとって、ここがターニングポイント(P)ARTI.。
以前は、派手な大阪のオバちゃんを見るみたいに目が痛くなる、つまり色合いがバーン!とこちらに"飛び出してくるような作品"が好みだったのが、浜田知明などの緊張感あるモノトーン版画、つまり異空間へ自分が"吸い込まれてゆくような作品"を好むようになってきた。
女性に対しても、外見より内面を重視するようになったのも、三十代前半のこの時期。食べ物も、見た目ボリューム感のある、かつ丼、牛丼がNGになり、味噌汁と納豆さえあれば満足じゃ!という血液サラサラ指向へと変化していった。えっ何?おっさんになっただけやて!?それはまぁこっち置いといて・・・。
そんな私が、『版画芸術』などの専門誌を読みふけっていたある日、ターニングポイントART3が訪れた。それは、有能なギャラリストや作家、クリエイターとの出会いである。作り手、売り手、買い手、の感性がひとつになり、それがハコ(画廊・会社)の器となり、時代を写し出してゆく。私はこれで、世の中の真贋(裏表)を学んだ。
こうして興味は、版画から現代を反映するキャンバスほかのコンテンポラリーアートへと移行していった。この時期、『美術手帖』やあらゆるサブカル雑誌を読みあさり、それは思想、禅の書まで及んだ。そして今、ターニングポイントART3に突入している。それが、このコラム。実は『書く』って"自分探し"なんですよね。これからも、買い手の書き手で頑張るぞ!