産経新聞平成17年4月13日掲載 え〜美タミン NO.25
「酔いました!絵にも酒にも」
「おかさん、コラム読んでますよ!」
そう言ってくれたのは、ギャラリーコル(大阪市中央区)の奥野さん。奥野さんとの出会いは、千日前のレトロ感満開のバー『夕顔』。そのバーで奥野さんが「おかさん、現代美術もいいですけど、やっぱりピカソやミロにシャガールはいいですよ。いっぺん鰻谷のギャラリーに遊びにきてくださいよ」と言ってくれたのがキッカケ。
その後、東京国際フォーラムで行われた「NICAF'99(アートフェア)」でバッタリ再会。「よかったら銀座の方のうちのギャラリーに来ませんか?」と誘われ、映画"アンタッチャブル"に出てきそうな値打ちモンのエレベーターに乗り、コルへ到着。ギャラリーにはカラフルな油絵から渋目の版画まで展示してあるんで、思わずおNEWのおもちゃを与えられたガキンちょのようにはしゃいでいたら、奥野さんに「ワインでもいかがですか?」と言われ、「えっ、あぁじゃぁ〜、ミディアムレアーで!」と、私の訳のわからんボケにも動じず奥野さんは「じゃっ、赤でいいですね?」「えっ?じゃっ!?あっハイお願いします」・・・「じゃっ!」でなんで赤なんやろ?そんな疑問を残しつつ、乾杯。
「このカラフルな作品は?」と私が尋ねると「これはニコラ・デ・マリア(1954年生まれ)です」。そう、それは、太陽、空、星、海、大地の光彩に満ち溢れ、ポカンと空いた心の隙間に、「ここ塗ってあげるよ!」とニコラが語りかけてくれてるよう。この優雅で優美な情感は、天の恵みである葡萄酒を口にすることにより、さらに増していった。・・・あ〜気持っちぃゃぁ〜。
その後、大阪のギャラリーにも足を運ぶようになり、私の知らない作家の作品を見せていただく度に、"美の深遠さ"と、美術がなぜ"美の術"であるかを教えられる。
私がロック少年だった頃、この人が影響を受けたミュージシャンは誰?と、懸命にルーツを探ったあの日々。これが大事なんだよ、と教えてくれた奥野さん。貴方は私にとって最高のアートソムリエです!