産経新聞平成17年3月9日掲載 え〜美タミン NO.20
「60年代家具ははエッぐい!」
二月十五日、故ジョン・F・ケネディ米大統領が愛用したロッキングチェアの競売がサザビーズで行われ、
九万六千ドル(約一千万円)で競り落とされた。
椅子でも付加価値が付くと、高額になる。実は私も、一目惚れしたソファーがある。
出会いは四年前、西心斎橋をブラっとしていると何やらド派手なお店が!?
覗いてみると、六〇年代を中心としたミッドセンチュリーの家具がずら〜り。
「近未来的な家具ですね」と私が言うと「六〇年代のデザインは最先端イッてたから、エッぐいでしょ?」と答えてくれたのは、
スパイラル・イン・ザ・トリップのオーナー、宮川さん。
『エッぐい』とは、宮川語で『ヤバい位イケてる』という意味。
確かに、トリップしそうなライト「SP1」、丸くて白いテレビ「KERACOLRE」、
ラジオ付きテーブル「Spectron(radio)table」…どれも二十一世紀を意識したデザインで、かなりヤバい。
さらに奥ヘ進むと、縦長で対をなす赤いモノが!?。
「これは上下に座るLiving Towerです。」えっ、ソファーの三階建て!?
まさにブレンマスターな逸品。
「こっちのオークションもんも見て下さい」。んっ何!?
「これ、映画『2001年宇宙の旅』のヒルトンホテルのシーンで実際に使われたソファーなんです」。
えっ、現物!?超ぉー欲しいぃぃぃー!!。
私はその日からミッドセンチュリーの家具にハマり、バーナー・パントンなどの洋書を購入。
夢見る夢男君と化していった。
そんなある日、宮川さんから「お客さんで、うちの家具一色のエッぐい家あるんですけど行きませんか?」というお誘い。
私は迷わずその田部邸へGO!
案内された部屋には、白いボールチェアやプールに浮かぶパスティールチェア、
壁には赤と紫のスピーゲルランプがあり、気分はもう007。
私は、田部さんが部屋をキャンバスにし、家具を抽象画のように表現しているのをみて、元気が出た。
よし、俺もこんな家に住んで感性を家具で表現するぞ!と誓い、
"2005年余興の旅"へと出掛ける夢男君でした。