産経新聞平成17年1月5日掲載 え〜美タミン NO.12

「男もキュンとなる言葉」

「復活LOVE。」「恋の一本背負い。」「二人とも好き。」
...去年から、新しい心斎橋そごう建設地の塀に書かれているこの文章が、気になっている方も多いでしょう。
実は、言葉を作品にしている関西在住の作家、イチハラヒロコさんが手掛けたものなんです。

 この人ゴ
 ミを押しわ
 けて、
 はやく来
 やがれ、
 王子さま。

これは、絶妙な乙女心を表現し、男でも思わずキュン!ときてしまう九○年の作品。
九一年には、時計に「遅れるで。」灰皿に「あついがな。」と書いて、
パンチの効いた関西風味もあじわわせてくれた。

こんなイチハラさんのぷっとくるフレーズは、どこから生まれてくるのだろうか?
私は答えを探しに、昨年キリンプラザで行われた彼女のレクチャーに足を運んだ。
と、ふと客席を見回していると、なな何と、兄弟子のオール巨人さんがいるではないか。
何故・・・?謎はすぐに解けた。イチハラさんは「昔から巨人さんの大ファンなんです」と語ってくれた。
終わってから巨人さんに尋ねてみると、「そうやねん、昔からええ娘やったよ」と語る姿に、
暖かい日差しのような優しさが溢れていました。

そんなイチハラさんが、九八年オランダ、イギリスでオモロイことをしでかした。
街ゆく人たちが「万引きするで。」と書かれた紙袋を持ち、ショッピングしているではないか!
私流に例えると、空港で「乗っ取るで。」と書かれたボストンバッグを持ち歩いているようなもの。
そして、昨年秋、私も参加した東京スパイラルでのテイクアートコレクション。
グッズ売り場を探索していると...ありました!イチハラグッズが!!
そして、ピンク、ブルー、透明な石鹸に書かれていた言葉は...

 恋の魔法が
  とけるころ。

十五日から始まる東京都現代美術館のグループ展でも、何をしでかしてくれるか楽しみです。
はやくきやがれ15日!!