産経新聞平成16年12月22日掲載 え〜美タミン NO.11

「とことん調べて、ぞっこん惚れる」

作家から直筆の案内状が届く!これは、愛好家にとってこの上ない喜び。
最近人気急上昇の神戸在住の作家、澤田知子は、その内の一人である。
出会いは二年前、大阪・南堀江SUMISOの展覧会で
「今度ここで展覧会するんで見にきてください」と声をかけて来てくれたのが最初。
手渡された案内状を見ると、コギャル数十人がめいめいのポーズを決め、はしゃいでいる。
「モデルを探すのは大変やったでしょう?」と聞くと「いえ、これ全部私です!」。

えっ、このガングロギャルが全部!?
すっ 凄い!さぁ、ここからが愛好家の腕のみせどころ。
オモロイっと思った作家は、本やインターネットで徹底的に調べまくる。
実はこの段階が宝探しのようで一番面白い!

澤田知子、一九七七年生まれ、成安造形大学非常勤講師、木村伊兵衛写真賞他多数受賞。 
こうやってチェックしだすと、不思議とギャラリーなどで彼女の作品とよく出くわすようになる。
旅館のおかみや八百屋さんに扮したものから、お見合い写真オンパレードまで。
私もよくロケやコントで、おばちゃん、新地のホステス、デビルマン!
?などに扮することがあり、次は何に?と欲がでてくる。
TVの場合は動きやセリフがあり、それらしく見せるのは容易。
けど写真は、その一瞬の空気感をとらえるので、成功と失敗が紙一重。
失敗して『ET』のような仕上がりになったら、思わずGo home!といいたくなる。
その典型的なのが三分間写真。私は、今だに納得できる写真を手にしたことがない。
運転免許の写真なんか、まるで手羽先(?)のように貧相だ。

そんな一発勝負の三分間写真を使い、彼女が四百人に変装した、
一九九八年の白黒写真作品「ID400」には驚かされた。
自動写真機の中が、ものまね番組のメーク室と化し、増殖し続けている。
つまり、扮装することにより外見が変わり、そして他人が自分に舞い降りてきた時、写真を撮る。

素晴らしい!澤田さん、今度は一体何をしでかしてくれるのですか?久しぶりに会いたくなってきました、澤田知子に。